2013年12月13日金曜日

透析患者に対しての抗凝固薬・抗血小板薬投与について

Major bleeding events and risk stratification of antithrombotic agents in hemodialysis: results from
the DOPPS

Kidney International (2013) 84, 600–608




DOPPS(Ⅰ-Ⅳ) の48144人を対象とした、OACs(agents including oral anticoagulants.)、APAs(anti-platelet agents)、ASA(aspirin)のそれぞれの使用群(重複あり)と全ての薬剤未使用群における、bleeding(入院必要)、stroke、all cause mortality、CVD mortalityのriskを調べた前向きコホート試験。

OACsはwarfarin 85%、APAsはチクロピジン 36%、クロピドグレル 35%、ジピリダモール14%、ペントキシフリン 14%の割合。
各薬剤の処方内容は国・施設で異なっていた。


OACs群で、各因子補正後も有意にbleedingのHR 1.30、 All cause mortalityのHR 1.16、CVD mortalityのHR 1.14という結果でった。strokeは有意差なし。
APAs群はbleedingは有意差なし、stroke,all cause mortalityとCVD moratalityに有意差見られた。
ASA群は全てのeventと有意差なし。(上図)

OACs群はASA群よりstroke、bleeding、all cause mortality、CVD mortalityに優位にriskが高いが、OACs群とAPA群は有意差見られなかった。APAs群はASA群よりstroke、all cause mortality、CVD mortalityのrisk優位に高い、bleedingは有意差なし。

OACsではmORBI(modified outpatient bleeding risk index)のscoreが高いほどbleedingのrisk上昇した。AFで投与されている人も同様。
mORBI scoreにおいて、12ヶ月以内のGI bleedingの既往は最も高リスク因子であった。


AFが存在している群において、過去1年以内のGI bleedingがない群ではCHADS2 scoreが高い程、strokeとbleedingのrisk上昇し、またOACs投与群の方が両方ともriskが高かった(図A)。過去1年以内のGI bleedingがある群ではstrokeのriskは2倍、bleeding riskは数倍高かった(図B)。
AFの有無に関わらなくても同様の経過であった(図C,D)。
bleedingのriskはstrokeのriskより2倍以上高い。


OACs群のriskが高いのは薬剤が悪いのか、投与される人が高risk群の可能性。実際薬物投与がない群はより若く、合併症少なく、CHADS2・mORBIのscoreが低い。
INRの値が不明、またadherenceと投与期間不明なのは問題点。
1年以内のGI bleedingの有無はbleedingのriskとしてかなり有用、またCHADS2 scoreも有用と考えられた。CHADS2 score2点以上のhigh risk群でも、bleeding riskの方がstrokeのriskより2倍以上ある。
以上から抗凝固薬・抗血小板薬投与の際にはmerit・demeritを慎重に考える必要がある。

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