2013年12月27日金曜日

CystatinC

Update on Cystatin C: Incorporation Into Clinical Practice

Am J Kidney Dis. 2013;62(3):595-603


Crは筋肉量、運動、肉摂取、健康状態にC左右される。
CysCは有核細胞から産生、血流に排泄される物質、人によってばらつき少ない、状態に影響されない。しかし、早い細胞のturnoverの状態や甲状腺機能異常、ステロイド使用でbiasがかかる可能性がある。

eGFR・Crでは、GFR>60ml/min以上において、all cause mortality調べるstudyで結果はJ-shape。
eGFR・Cysではlinearも結果の報告。

○eGFRで予後を推定するstudyでCysCの方がよりいい指標であった報告。


○REGARDs studyでは、eGFR・CrとeGFR・CysC両方計測し、mortalityとESKDのrisk検討。
両方正常と比較して、eGFR・Crのみ異常群ではmortalityとESRDにrisk上昇なかったが、
eGFR・CysCのみ異常群ではmortality 2.1倍、ESKD 5.8倍であった。両方の異常群ではmortality 2.1倍、ESKD 26.1倍のriskであった。
CysC併用で、予後分類がmortality13.3%、ESRD6.4%の向上見られた(有意差あり)。

2012CKD-EPI eGFR・CysCは性と年齢で計算されるが、2012CKD-EPI eGFR・CysC-Crは年齢、性、黒人で分類される。19%の分類の向上が見られた。

○eGFR・Crが45-60、そして他のCKD兆候がないCKDの患者(CKD全体の30%程度)にKDIGOではCysC測定提言している。その中で1/3はeGFR・CysC 60ml/min以上でそれらはnonCKDと定義され、60ml/min以下ならCKD。

○Cysをスクリーニングに使うのはeGFR・CrがCKDのborder、CKD high risk、Crの有効性が低い時

○他のCKD兆候のないeGFR・Cr 60-90ml/minの人にeGFr・CysC計測したところ、14%が60ml/min以下であったという報告。USでは、eGFR・Cr 60-75ml/minのうち、23%がeGFR・CysC 60ml/min以下であったという報告、ここにが1番CysC使えると考えられる。

CysCで定義されたCKDの方がESKDに高頻度に陥るという報告。
腎移植患者ではCysCが通常のCKD患者より更に有効との報告。ステロイド使っているのにも関わらず。
低栄養が多い、入院患者にもCysCが適する報告。
HIVではeGFR・CysCがeGFR・Crより低く出る、またよりmortality反映するという報告。

2013年12月24日火曜日

若年時の肥満とESRDの関係

Body Mass Index in 1.2 Million Adolescents and Risk for End-Stage Renal Disease

Arch Intern Med. 2012;172(21):1644-1650


平均17.4歳の1940704人(徴兵制の1年前、ユダヤ人、58.7%が男性) のBMI測定行い、25年間のfollowを行い、ESKDのriskを調べたretrospective cohort。

BMIの84-95 percentileをoverweight、95 percentile 以上をobesityと定義。
overweightは男7.4%、女8.9%、obeseは男2.9%、女2.0%であった。血圧とBMIは関係していた。

痩せ群・通常群と比較して、補正後のESRDへのHRはoverweight群3.0、obese群6.89であった(有意差あり)。

痩せ群・通常群と比較して、補正後のDM性ESRDのHRはoverweight群5.96、obese群19.37であった(有意差あり)。
痩せ群・通常群と比較して、補正後のnonDM性ESRDのHRはoverweight群2.17、obese群3.41であった(有意差あり)。

BMIが正常上限の75-85percentileからDM性ESKDは増えていた。一方nonDM性ESKDはoverweightから増えていた。

2013年12月23日月曜日

アメリカでのCKD stgae3-5になう生涯確率

Lifetime Incidence of CKD Stages 3-5 in the United States


Am J Kidney Dis. 2013;62(2):245-252


Markov Monte Carlo model simulation study.(cross-sectional model)


アメリカ人において、CKD stage3a、3b、4、5の生涯確率はそれぞれ59.1%、33.6%、11.5%、3.6%であった。70歳まで、CKD患者における残された寿命でのdisease freeリスクは上昇する、高齢での腎疾患の発症、寿命が伸びたこと反映していると考えられる。

CKD riskは性と人種で異なる。女性は男性よりCKDのrisk高いが、男性の方がESRDのrisk高い
黒人の方が白人よりCKDになるのが早い。


CKD stage 3a、4が年齢と共に劇的に増加、70歳以上で半分以上が起きている(図A、B、C)。
しかし、ESRDはより早期になり、高齢ではplateauに達する(図D)。

白人女性はCKD3aのriskは最も高いが、ESRDのriskは最も低い。腎疾患の遅い発症、遅いCKDの進行、腎移植の受け入れの違いが反映されていると考えられる。
黒人は早い段階で腎疾患のriskに直面、以降もその状態が続く。医療受診の少なさ、遺伝子的問題、疾患原因の違い、高齢での死のriskに拮抗する因子の少なさ等から、CKD進行の感受性の高さがある可能性。

2013年12月22日日曜日

若年期のobesityと成人期のCKDの関係

Early-Life Overweight Trajectory and CKD in the 1946 British Birth Cohort Study

Am J Kidney Dis. 2013;62(2):276-28


1950年代にイギリスで生まれた5362(全て白人)が対象。
220(2歳、4歳、6歳、7歳、11歳、15歳、20)の間にBMIを計測し、6064歳でのCKD発症を調べた。


生まれ体重が重いとobesityになるriskも大きかった。
1.7%GFRcisで、2.9%UACRCKDとなった。
思春期からobesity(n=209)と常にobesity(n=147)nが少なかった。
有意差ないものの、思春期からのobesity群の方が常にobesity群よりCKDrisk高かった。


思春期からobesity群と常にobesity群obesityなし群と比較して、eGFRcysでのCKDになるOR 2.02(有意差あり)であったeGFRCrUACRでは有意差出なかったものの、同様の傾向を示した。
どれか一つ以上あてはまるcomposite CKDOR 1.51(有意差あり)であった。
思春期前のみobesity群obesityなし群と比較し、CKDへのrisk有意差みられなかった。

全ての因子で補正すると、有意差なくなったものの、同様の傾向であった。
53歳でのobesityで補正と比較し、36歳でのobesityで補正するとよりCKDriskが減少した
これは早期成人期のobesityは特にCKDrisk高いが、若年期と後期成人期のobesityも独立したCKD危険因子と考えられるまた若年期のobesityは後期成人期より、早期成人期のobesityにより強い相関があるためと考えられる。


1950年台から開始していて思春期からobesityと常にobesity群は計7%だが、現在は40%と予想されるため、さらなる評価が必要。

2013年12月21日土曜日

ALP値のCKD患者におけるrisk

Prognostic lmportance of Serum AIkaline Phosphatase in CKD
Stages 3-4 in a Clinical Population

Am J Kidney Dis.2013;62(4):703-710


CKD患者における、ALPとall cause mortalityとESKDの関係を調べた単一施設retrospective cohort。median 2.2年。
対象はCKD stage3-4・28678人平均年齢72歳、3割がobese。
ALP 四分位し、Q1<66、Q2 67-81、Q3 82-101、Q4 102< とした。

HT、うっ血性心不全、RAS阻害薬投与、スタチン投与、Hb、HL、HCO3の値で有意にALPの値異なった。PTH、P、UP等missing dataが多かった。
ALPのレベルでとoverall mortality、ESKDのriskは異なった。

各因子補正後もALPの四分位が上がるに連れ全死のrisk上昇した(上図)。
ESKDはQ4でのみ有意差が見られた(上図)。
ALPが42.7U/L上昇するごとにで、death 16%、ESKD 15%riskが上昇した。


eGFRが高い程、ALPの悪影響は強かった。
ESKDにおいて、eGFRとALPの関係みられなかった。
5667人のPの値が存在している人で、Pも含めて補正するとALP 42.7U/Lの上昇につき、mortality 10%上昇した。ESKD有意差なし。
5667人のUPの値が存在している人で、UPも含めて補正するとALP 42.7U/L上昇につき、mortality 16%上昇、ESKD17%上昇した。

2013年12月20日金曜日

CKD患者へのフィブラート投与による効果

Effects of Fibrates in Kidney Disease


JACC Vol. 60, No. 20, 2012 November 13, 2012:2061–71


CKD患者におけるフィブラート製剤使用におけるall cause mortality、CVD event・mortalityを調べたmeta-analysis。
10個のstudy(8個のRCT)採用され、全対象は16869人(51ー67歳、男性が主、eGFR 30-60のmild-moderate CKD)であった。フィブラート製材は2つがゲムフィブロジル、2つがベザフィブラート、4つがフェノフィブラートであった。


eGFR 30-59.9ml/minのCKD群において、フィブラート投与によりT-cholは12.4mg/dl低下(p=0.05)、またTGは有意に49.6mg/dl低下、HDLは有意に2.32mg/dl上昇、LDLは有意差見られなかった。
type2DMでフィブラートは有意にalb尿14%低下させ、全体でもAlb尿減少のRR1.19(有意差あり)。


フィブラート投与群でs-Cr 0.37mg/dl上昇、eGFR 2.67ml/min減少した。しかしESKDへの進展に有意差なし(RR 0.85、有意差なし)。
FIELD studyでは、加療終了8週間後、フェノフィブラート投与していた群では有意にsCr低かった。これは初期のsCr上昇に関わらず、長期使用による腎保護作用示唆される。



GFR30-59.9ml/minのCKD群では有意にCVD event 30%減少、CVD death 40%減少した。
しかし、GFR60ml/min以上ではCVD死亡に明らかな影響見られなかった。
全群でall cause mortalityには影響見られなかった。

2013年12月18日水曜日

CKDと心筋梗塞の予後の変遷

Decline in 20-year mortality after myocardial infarction in patients with chronic kidney disease:
evolution from the prethrombolysis to the percutaneous coronary intervention era

Kidney International (2013) 84, 353–358

24年間にCKD患者におけるMIへの加療法に変遷
MIで搬送されたCKDのレベル毎のmortalityのtrend
MI後のCKDのstageに応じた短期長期予後

12087人(腎機能正常群に加えて、CKD2.3.4-5それぞれ46%.21%.4%含まれる)において、24年間にCKD患者におけるMI(myocardiac infarction)への加療法の変遷、MIで搬送されたCKD各stage毎のmortalityのtrend、MI後のCKDのstageに応じた短期長期予後を調べた前向きコホート。

腎機能が悪化するにつれ、高齢、女性、CABG or MIの既往、HT、DM、貧血が多く、逆に喫煙、HLが少なく、MのI家族歴も少なかった。


全てのCKD staageにおいて再還流療法が増えた。
followの期間中、CKD stage4-5では腎機能正常群と比較し、有意に再灌流療法の施行率が低かった。またEBM therapy(アスピリン、β blocker、スタチン、RAS系阻害薬)使用も優位に低かった。逆にevidenceの乏しい、CCB、ニトロ、利尿剤は多く投与されていた。

全体で30日死亡率は10%から4%へ減少、CKD群では11%から6%へ減少した。5年死亡率は24%から195へ減少、CKD群では26%から24%へ減少した。

30日mortalityは各因子補正後、riskは60%減少した(有意差あり)。このrisk減少は腎機能間で有意差が見られなかった。
30日生存者は5年生存率のmortalityが10%低下した、このrisk減少は腎機能間で有意差が見られなかった。

各因子補正後、CKD各stageと正常群と比較した死亡率は、CKD2.3.4-5は30日mortalityはsorezore
2.1倍、4.3倍、8.6倍高く、20年mortalityはそれぞれ1.0倍、1.5倍、3.4倍高かった。

死亡率は減ったものの、腎機能は強い予後規定因子であることが認められた。

・CKD3-4、透析直前の患者は、透析患者よりも再還流療法を受けにくいという報告がある。
・CIDへの懸念が示唆される
・PCIや他の心保護療法の使用と比例して腎機能が低下するという報告
・多くのMIへのRCTが腎機能低下患者を除外していたことによる、治療の医学的不十分さ
・腎機能障害は貧血や出血のriskも高い
・腎機能低下患者は遅れて、もしくは非典型的な症状をしばしば呈する
上記全ての因子がCKD群にEBM加療を行うことを減らし、極端に言うと悪い予後へとつながった可能性。

腎機能別の予後の改善に有意差がなかったことから、腎機能に関わらず、EBMに準じたMI加療でCKD3-5群においてさらなる予後を期待できると思われる。

透析患者における血圧変化と死亡率の関係

A comparative effectiveness research study of the change in blood pressure during hemodialysis
treatment and survival

Kidney International (2013) 84, 795–802



透析患者における透析中の血圧の変化を「Δ=透析前血圧-透析後血圧」と規定し、これとall cause mortality・CVD mortalityの関係を調べた113255人のretrospectibe cohort study。
対象となった透析患者の平均は61歳、58%がDMの患者。followの中央値2.2年。

平均血圧変化 systolicΔ=-10、diastolicΔ=-5であった。

sΔ=-10~10の変化群に比べて、10以上変化する群は高齢、DM、IHD、心不全が多かった。
sΔ30以上低下群はより若く、DMが多かった。しかしIHDとうっ血性心不全は少なかった。
sΔ=riserには合併症が多かった。


sΔ、dΔともにall cause mortalityとはU-shapeの関係であった。
各因子補正後はsΔが-30から0の低下が最もmoratalityが低いU-shapeで、sΔ=-14、dΔ=-6は最も予後がよかった。
sΔは補正後、CVDにもU-shapeであった。


sΔは透析前収縮期血圧が120以上ならU-shapeの関係、120以下ならΔ低いとmortaliy上昇という結果であった(上図)。

ろ過量はΔに関係はするが、補正してもΔはmortalityと関係がみられた。透析時間はΔにあまり関係せず、これで補正してもΔとmortality同様の経過であった。

folow upの期間に限らずΔとmoratalityのU-shapeの関係は見られ、2年までが最も相関が強い、2-4年も相関は弱まるものの存在、4ー6年にfollowではU-shape見られなかった、これはsurvival biasによるものと考えられる。

透析後血圧と透析中nadirの血は異なるので、透析中のhypotentionのmortalityへの影響正確に調べられてない可能性。
透析後血圧は透析中低血圧に対する、除水速度の変更、NS注入といった対応のbiasがある可能性がある。
また降圧薬の情報が不明、透析液のNa濃度、除水量不明。
残腎機能不明、しかしGFRで補正した場合では結果に影響はなし。
透析しなかった頻度等が不明。
初めの合併症は情報あるが、follow中合併症は不明。

2013年12月16日月曜日

うつ病とCKDの関係性

Association Between Depression and Death in People With CKD:A Meta-analysis of Cohort Studies

Am J Kidney Dis. 2013;62(3):493-505


うつ病とCKD患者におけるall cause mortallityとCVD mortalityの関係を調べたmeta-analysis(22個のstudy)


対象は大人のCKD(early stageからESRD、移植された患者) 83381人、うち12063人(27.4%)がうつ病であった。follow期間の中央値は2年。うつの診断は、医師の診断と各スケールによってなされた。


対照群と比較して、うつ群ではall cause mortalityのRR 1.59で有意差見られた。
CVDの補正すると関係弱くなるが、それでも有意にrisk高かった。




うつとCVD mortalityの関係性は認められなかった。

うつと腎疾患における死亡率の上昇は、うつへの治療でよくなる可能性があるが、この研究では示せなかった。

抗鬱薬は一般的には慢性疾患においてうつ症状改善するが、CKD患者において安全性、耐性、QOLや身体症状に有益かは不透明。evidenseない状態。非薬物療法である運動両方も耐性、高いCVDの存在率から問題がある。

重症ANCA関連血管炎に対するrituximabでの加療

Efficacy of Remission-Induction Regimens for ANCA-Associated Vasculitis

N Engl J Med2013;369:417-427


施設共同無作為化二重盲検ダブルダミー非劣性試験において、重症ANCA関連血管炎197例(再燃例101例含む)に対し、rituximab (375mg/m2体表面積を週1回4週間)投与後にplaceboを投与する治療群99例と、cyclophosphamide3-6ヵ月間投与後にazathioprieを12-15カ月間投与する治療群98例とで比較した(glucocorticoidによる加療は2群で同じ)。

6ヵ月、12ヵ月、18ヵ月までに完全寛解を達成したのは、rituximab群とcyclophosphamide-azathioprine それぞれ64%、48%、39%と53%、39%、33%であった。

proteinase3-ANCA陽性群の方がmyeloperoxidase-ANCA陽性例より有意に再燃が多かった。
granulomatosis with polyangitisはmicroscopic polyangitisより有意に再燃が多かった。
baselineで再燃例は初発例に対し有意に再燃が多かった。

完全寛解の持続期間や、再燃の頻度・重症度などの有効性評価項目に、2群間で有意差は認められなかった.
18ヵ月の時点でrituximab群ではB細胞の再構築されていた。

baselineで再燃例であった101例は,6ヵ月と12ヵ月の時点では,rituximabの方が有意に従来の免疫抑制よりも優れていたが,18ヵ月の時点では有意差は認められなかった(P=0.06)。
CCrの改善度は2群間で有意差見られなかったが、対象群より有意にrituximab群の方がbaseの腎機能が低かった。

有害事象でも2群間で有意差は認められなかった..
白血球減少(grade2 or higher) は有意にrituximab群で発生率が少なかった。
infection(grade2 or higher)は有意差なかったものの、肺炎発症率はrituximab群で有意に少なかった。

B cell数やANCAの値で再発risk予測できないが、両方陰性では再発少ない。

2013年12月15日日曜日

低蛋白食のmeta-analysis


The Effect of Dietary Protein Restriction on the Progression of Diabetic and Nondiabetic Renal Diseases: A Meta-Analysis

Ann Intern Med. 1996;124:627-632.


低蛋白食による腎機能への影響を調べたmeta analysis。

5つのRCT(MDRD studyを含む)で中等度腎機能障害(no diabetesが主)1413人、0.4-0.6g/kgの低蛋白食群と普通食群の比較、follow期間は18-36ヵ月。


結果はESKD、死亡率のriskが有意に33%低下した。

108人のインスリン依存性DM患者(9人ACEI投与、そのうち6人低蛋白食群)においても比較され、0.5-0.85kg/dayの低蛋白食群と普通食群の比較、follow期間9-33ヶ月。


結果はGFR・CCr減少,ACR上昇のriskが有意に44%低下した。small numberであり、study方法も異なるので確証ではないが有意に有効と考えられる。


・0.7-0.8g/kgが実際に達成された蛋白摂取量であり、当初の規定より多いものの、普通食群より有意に低かった。
・腎疾患の種類が不明、低蛋白食開始後の栄養状態は不明。尿蛋白 10g/gCr以上の患者は入ってないが、低栄養の可能性高く、低蛋白食の弊害ある可能性はあるので注意。

2013年12月13日金曜日

透析患者に対しての抗凝固薬・抗血小板薬投与について

Major bleeding events and risk stratification of antithrombotic agents in hemodialysis: results from
the DOPPS

Kidney International (2013) 84, 600–608




DOPPS(Ⅰ-Ⅳ) の48144人を対象とした、OACs(agents including oral anticoagulants.)、APAs(anti-platelet agents)、ASA(aspirin)のそれぞれの使用群(重複あり)と全ての薬剤未使用群における、bleeding(入院必要)、stroke、all cause mortality、CVD mortalityのriskを調べた前向きコホート試験。

OACsはwarfarin 85%、APAsはチクロピジン 36%、クロピドグレル 35%、ジピリダモール14%、ペントキシフリン 14%の割合。
各薬剤の処方内容は国・施設で異なっていた。


OACs群で、各因子補正後も有意にbleedingのHR 1.30、 All cause mortalityのHR 1.16、CVD mortalityのHR 1.14という結果でった。strokeは有意差なし。
APAs群はbleedingは有意差なし、stroke,all cause mortalityとCVD moratalityに有意差見られた。
ASA群は全てのeventと有意差なし。(上図)

OACs群はASA群よりstroke、bleeding、all cause mortality、CVD mortalityに優位にriskが高いが、OACs群とAPA群は有意差見られなかった。APAs群はASA群よりstroke、all cause mortality、CVD mortalityのrisk優位に高い、bleedingは有意差なし。

OACsではmORBI(modified outpatient bleeding risk index)のscoreが高いほどbleedingのrisk上昇した。AFで投与されている人も同様。
mORBI scoreにおいて、12ヶ月以内のGI bleedingの既往は最も高リスク因子であった。


AFが存在している群において、過去1年以内のGI bleedingがない群ではCHADS2 scoreが高い程、strokeとbleedingのrisk上昇し、またOACs投与群の方が両方ともriskが高かった(図A)。過去1年以内のGI bleedingがある群ではstrokeのriskは2倍、bleeding riskは数倍高かった(図B)。
AFの有無に関わらなくても同様の経過であった(図C,D)。
bleedingのriskはstrokeのriskより2倍以上高い。


OACs群のriskが高いのは薬剤が悪いのか、投与される人が高risk群の可能性。実際薬物投与がない群はより若く、合併症少なく、CHADS2・mORBIのscoreが低い。
INRの値が不明、またadherenceと投与期間不明なのは問題点。
1年以内のGI bleedingの有無はbleedingのriskとしてかなり有用、またCHADS2 scoreも有用と考えられた。CHADS2 score2点以上のhigh risk群でも、bleeding riskの方がstrokeのriskより2倍以上ある。
以上から抗凝固薬・抗血小板薬投与の際にはmerit・demeritを慎重に考える必要がある。

蛋白摂取量と心血管障害・腎機能低下の関係性

High Protein Intake Associates with Cardiovascular Events but not with Loss of Renal Function

J Am Soc Nephrol 20: 1797–1804, 2009


PREVEND試験での8461人(502人がeGFR 60ml/min以下)の蛋白摂取量における、CVD risk、non-CVD mortality、腎機能低下を調べた前向きコホート試験。平均蛋白摂取量は1.20g/kg。

蛋白摂取量で5段階に分けたところ、最も高容量摂取群は低容量摂取群と比較して高BMI、HT、高血糖、高コレステロール、尿中ALb排泄量・Na排泄量が多かった。逆に喫煙とCVDの既往は低用量群で最も多かった。


CVD eventは補正後も蛋白摂取量と関係あり、低蛋白摂取群・高蛋白摂取群で高いU-shapeの結果であった(図A)。

all cause mortalityとnon-CVD mortalityは低蛋白摂取群で有意にriskが高い結果(図B,C)。
補正はしているものの、malnutritionが原因の可能性(喫煙率・CVDの家族歴が最も高い、MBIが最も低い)。

蛋白摂取量と腎機能低下は関係が見られなかった(腎機能低下群においても)(図D).

今までのstudyの結果(母集団で性、年齢が異なる)と異なる結果だが、本studyでは性差・年齢で補正済み。観察研究なので、これだけではCKDにおける低蛋白食の腎予後への可能性は否定できない。

2013年12月11日水曜日

尿蛋白量と腎機能悪化の関係性

Proteinuria and Rate of Change in Kidney Function in a Community-Based Population

J Am Soc Nephrol 24:1661-1667,2013


尿蛋白排泄量と各腎機能の状態におけるeGFRの変化の関係を調べた前向きコホートstudy。

対象は638150人のCKDstage1-4の保存期の患者。平均追跡期間4.4年。
尿蛋白排泄みられない群は若く、女性が多く、尿蛋白がnormal・mild・heavyと悪化するにつれ、DM、HT、他の合併症の存在する割合が上昇した。

結果はbaseの腎機能は関係なく、尿蛋白が出ている群は出ていない群と比較して、eGFRの低下が強かった(normal<mild<heavy)。女性よりも男性がやや顕著であった。
この結果はACR(尿アルブミンCr比)で比較した群においてより顕著であった。
また、腎機能低下群(eGFR 15-29.9)では同様の結果ではあったが、eGFR低下の強さは緩徐であった。
年齢、DMの有無で補正しても同様の結果が得られた。

問題点としては血圧コントロール、CKDの原因疾患、脂質異常のコントロール、RAS系阻害薬を補正していないのがあげられる。

重炭酸濃度と予後

Association of Serum Bicarbonate With Risk of Renal and Cardiovascular Outcomes in CKD: 
A Report From the Chronic
Renal lnsufficiency Cohort (CRIC) Study

AmJKidneyDis.2013;62(4):670-678



CKD stgae2-4の患者3904人(48.5%DM41.8%が黒人。NYHA3-4は除く)のHCO3の値(mEq/l)が22以下、22-2425-2626以上の44つに区分し、HCO3の値で腎機能悪化(eGFR50%悪化or ESKD)、動脈硬化性心疾患(AMIPADstroke)、心不全、mortalityのriskを調べた前向きコホート試験。

HCO3-最低群はヒスパニック、喫煙者、DMが多く、LDLHDLが低値、利尿薬使用が少ない。尿蛋白・Albが多く、eGFRが低く、高PPTHFGF23、低Hbであった

HCO3-最低群(22以下)は最高群(26以上)と比較して、腎機能悪化のriskが高く、HCO3-が 1mEq/L上がるごとに、3%risk低下した。
特にeGFR>45の患者ではHCO3-が1mEq/l上がるごとに9%のrisk低下、UP 0.2g/day以下の患者においては、HCO3-が1mEq/l上がるごとに10%risk低下が認められた。これは腎機能が保たれている群の予後判定に有用と考えられる。


HCO3- 24mEq/l以上の場合、HCO3-が1mEq/l上がるごとに心不全のrisk14%上昇した。(CVD既往ない患者では22%risk上昇とさらに顕著。)利尿薬使用を補正しても同様の結果であった。



動脈硬化性心疾患・mortalityでは有意差が見られなかった。

2013年12月9日月曜日

CKD患者における脂質異常症の加療


LDL cholesterol in CKD—to treat or not to treat?

Kidney International (2013) 84, 451–456




CKD患者は一般人と異なり、LDLの値がCVDriskに正比例しない。


TG血症low HDL血症CKD患者に多い。

動物実験では高chol血症の影響より尿毒症状態の方が動脈硬化進行を促進したという報告があり、機序としてカルバミルLDLが尿毒症状態で生成され、それがCKD患者での動脈硬化のriskになるという。

複数のstudyで保存期CKDにおいて、CVD risk、mortality減少がスタチンで認められている。
CKDへのフィブラート使用でCVD riskCVD mortality減少の報告がある。14%程のAlb尿の減少も認められたという報告。

AURORA試験4D試験では、透析患者におけるスタチンの有効性はCVD risk・moratalityの低下が見られず、認められなかった。
しかし4D試験において透析患者でもbaseのLDL 140mg/dlを超えていれば、スタチンによるCVD低下・mortality低下が認められた。

CKD全てのstage9000人以上(CVDの既往なし)の大規模試験であるSHARP試験ではシンバスタチンとエゼチミブ併用。保存期CKDにおいては動脈硬化性疾患17%減少、CVD疾患15%減少と有効性が認められたが、透析患者においては有意性示せなかった。




低蛋白食2

The Impact of Protein Intake on Renal Function Decline in Women with Normal Renal Function or Mild Renal Insufficiency

Ann Intern Med. 2003;138:460-467



Nurse’s Health Studyの女性看護師 1624人(CVD・脳血管障害除く。98%白人、1%黒人。)において、蛋白食摂取量による前向きコホート。

腎機能正常群において、蛋白摂取量とeGFRに相関なし。摂取蛋白の種類も関係なし。

軽度腎機能障害群にいて、10gの蛋白摂取が増える度にeGFR -7.72(95% CI:-15.520.08)と有意差borderであった。

最も高蛋白摂取群では有意にeGFR低下していた。

非乳製品性動物性蛋白食摂取群も有意にeGFR低下していた。


最も高蛋白摂取群では最も低い群と比較して、15%以上eGFRが低下するオッズ比は3.51。








2013年12月7日土曜日

低蛋白食

Long-term effect of modification of dietary protein intake on the progression of diabetic nephropathy: a randomised controlled trial

Diabetologia (2009) 52:2037–2045


2DMN(30-70歳、1-10g/gCrCr 2.0mg/dl以下、SDA以上の網膜症の患者。脳・心血管障害は除く、RAS系阻害薬投与除く) 112人において、0.8 g/kgの低蛋白摂取におけるeGFRCCrの低下、Cr値の2倍化・またそれまでの期間をprimary end pointとしたrandomaized比較試験。

2群において、食事からの蛋白摂取には有意差あったものの、24時間蓄尿におけるUNの値から計算した蛋白摂取量は両群有意差なみられなかった。

primary end pointeGFRCCrの低下、Cr値の2倍化・またそれまでの期間は有意差なし。
secondary end pointESRDに至る割合、尿中UNAlb排泄量、QOLの評価も有意差なし。

randomaizedではない対象研究では蛋白摂取量による腎機能悪化は見られなかった。
収縮期血圧のみが腎機能悪化因子であった。




2013年12月6日金曜日

低Mg血症における低K血症

Mechanism of Hypokalemia in Magnesium Deficiency


J Am Soc Nephrol 18: 2649–2652, 2007


低K血症のうち、半分以上が低Mg血症合併している。特にループ・サイアザイド利尿薬投与に際に多いが、他に下痢、アルコール中毒、Bartter・Gitelman症候群のような尿細管トランスポーター異常、薬剤性尿細管障害がある。



低Mg血症による低K血症のメカニズムは、細胞内にMg2+が十分量存在した際には上図Dのように集合管におけるROMKからのK分泌をMg2+が妨げることが可能であるが、これが不足した場合には例えhypokalemiaの状態であってもK+が分泌されてしまうため。

クレメジン

Americn Journal of Kidney Disease,VoI 54 , No3(September):2009:pp459-467

Effect of a Carbonaceous OraI Adsorbent on the Progression of CKD : A Multicenter , Randomized , Controlled Trial



CKD患者(20歳以上、sCr 5以下、BPコントロール良好、RAS系阻害薬投与、0.8g/kg以下の低蛋白食)に対し、AST-120(クレメジン)6g/day投与、56週間のRandomaized controlled trial。

conventional treatment(RAS系阻害薬、0.8g/kgの低蛋白食) 229vs conventionalAST-120 231人の比較。
study開始40週前に全員RAS系阻害薬と低蛋白食開始している。

primary end point(doubling sCr6mg/dl以上、ESKD、死亡)に達したのが両群ともに20%以下と少なかった影響もあるが、primary end pointに有意差は見られなかった。
secondary end pointであるCcreGFRは有意差見られたものの、その差はわずかであった。