2014年3月28日金曜日

RAS系阻害薬の併用のmeta-analysis

Efficacy and safety of dual blockade of the renin-angiotensin system: meta-analysis of randomised trials

BMJ 2013;346:f360 doi

RAS系阻害薬の併用について、n=50以上、追跡期間についてはefficacyが1年以上、safetyが4カ月以上が条件のRCT33個のmeta-analysis(ACEIとARB併用22個、ACEIとアリスキレン3個、ARBとアリスキレン7個、ACEIorARBとアリスキレン1個)。平均61歳、71%が男、平均追跡期間の中央値52週間であった。


併用群と単独群でall cause mortalityは有意差みられなかった。
併用群の心不全がない群での死亡率はHR 1.07と有意に高かった。


CVD mortalityは有意差見られなかった。


心不全で入院のriskは併用群はHR 0.82と有意に低かった。
心不全ある群ではさらに顕著で併用群のHR 0.77と有意に低かった。


併用群でhyperkalemiaは有意に上昇、HR 1.55。腎不全も有意に上昇、HR 1.41、心不全がある群ではさらに顕著でHR 2.19。心不全がない群では有意差なし。併用群で副作用での中止は有意に上昇HR 1.27。
それぞれの併用薬、単独薬の副作用については上記。

2014年3月26日水曜日

AKI早期診断へのbiomarker


Distinct injury markers for the early detection and prognosis of incident acute kidney injury in critically ill adults with preserved kidney function


Kidney International (2013) 84, 786–794

AKIをきたしうるICU入院重症患者370人に対して、AKI発症群(127人)、対照群(245人)でのuNGAL、uL-FABP、uCysCの値を調べたstudy。
enrollmentと48時間後にbiomarker検索。AKIの定義は48時間後にCr 0.3 mg/dlかGFR 50%上昇とした。

Enrollmentの段階で、AKI発症群では高齢、男性、DM、injury score高値が有意であった。敗血症は多い傾向であったが有意差はなかった。Cr、eGFRも有意差はなし。AKI群はsurgical ICU入院で有意に多かった。AKI群でuNGALとuL-FABPは初めに有意に高値であった。uCysCは有意差みられなかった。


AUC-ROCはuNGAL、uL-FABP、uCysCそれぞれ0.58、0.59、0.51で、uNGALとuL-FABPで併用で0.59であった(Figure 4 a)。
AKIN2-3に限定すると、AUC-ROCはuNGAL、uL-FABP、併用それぞれ069、0.65、0.69であった(Figure 4 B)。


uNGALやuL-FABPと、透析か死亡の複合転帰の関係は認められなかった。早期の透析の必要性とは関係していた(Table3)。

uNGALとuL-FABPはAKIと関係はするものの、AKIとnon-AKIの区別は困難であった。

2014年3月21日金曜日

生活関連因子と微量Alb尿の関係

Lifestyle-Related Factors, Obesity, and incident Microalbuminuria: The CARDIA (Coronary Artery Risk Development in Young Adults) Study 

Am J Kidney Dis.2013; 62(2): 267-275


2354人の黒人、白人の18ー30歳に対して果物、野菜、低脂質食、穀類、ナッツと豆の摂取、減塩、清涼飲料水、加工肉、不健康な生活習慣(fastfoodの回数、低い身体活動、喫煙、baseの肥満(BMI 30以上)と微量アルブミン尿を調べた前向きコホート。

男性、喫煙、黒人、高血圧、DM、腎疾患の家族歴があるとAlb尿出やすい


微量Alb尿陽性者は有意に低脂質食が少ない、清涼飲料水、加工肉摂取が多かった。


不健康な生活習慣の中ではobesity、smoking、poor quality dietのriskが有意に多かった。


unhealthy related factorは多いと有意にOR高かった。

2014年3月19日水曜日

透析患者における拡張型心筋症へのカルベジロール投与の効果

Carvedilol Increases Two-Year Survival in Dialysis Patients With Dilated Cardiomyopathy
A Prospective, Placebo-Controlled Trial

JACC Vol. 41, No. 9, 2003: 1438–44


拡張型心筋症(NYHA2-3、LVEF 35%未満)の透析患者132人、男89人、女43人(平均年齢55.1、sBP 90以下は除外、すべての患者にジギタリスが入っている。ACEIが96.9%、残り3.1%はARBが入っている。硝酸薬25%入っている。週4回の透析をしている。)にカルベジロールを最大量の25mg、または個人の耐容量を投与する群とplacebo群に無作為割り付けしたopenlabel placebo controlled randomized study。2年の追跡。






カルベジロール投与群で死亡率、CVD死亡率、otherCVD死亡率が有意に減少した。
突然死はカルベジロール投与群で減少していたものの、有意差は見られなかった。
cox比例ハザードモデルでは総死亡率0.51、CVD死亡率0.32(有意差あり)。
カルベジロール投与群で有意に入院率低い、特に心不全の入院率が低かった。
cox比例ハザードモデルではそれぞれの入院率0.44、0.19(有意差あり)

2014年3月18日火曜日

IgANに対するMZR使用

Methylprednisolone pulse therapy combined with mizoribine following tonsillectomy for immunoglobulin A nephropathy:clinical remission rate, steroid sparing effect, and maintenance of renal function

Clin Exp Nephrol (2011) 15:73–78





IgAN患者(組織grade2-4、Cr 2 mg/dl以下、GFR 30ml/min以上、70歳以下)42人に対し、mPSL 500mgを3日間、その後PSL 30mg/dayを4週間。その後MZR 150mg/day開始し、4週ごとにPSL 5mg減量、7ヶ月後に中止。MZRは11ヶ月後に中止のプロトコールで、primary endpointは6,12,24ヶ月後のCR(赤血球5/HPF以下、蛋白尿の消失0.1g/gCr以下が3ヶ月)。


CR 6ヶ月後33.3%、12ヶ月後69.1%、24ヶ月後76.2%
蛋白尿改善が尿潜血改善より早い
寛解後の再発はなし
CKD stage1-2のeGFRは横ばいで、stage3のeGFRは改善した。蛋白尿、sCrは有意に改善した。
IgAも低下した。

2014年3月17日月曜日

Cystatin CによるeGFRと死亡率、ESRDの相関

Cystatin C versus Creatinine in Determining Risk Based on Kidney Function

N Engl J Med 2013;369:932-943


一般人とCKD患者における、Cystatin C(CysC)によるeGFRCrによるeGFR、両者併用によるeGFRによる分類と、総死亡率、CVDによる死亡率、ESKD率の関係を調べた一般人のstudy11(90750)CKD患者のstudy5(2960)で行われたmeta-analysis

CreGFR 60-89 ml/min14%CysCeGFR60 ml/min以下になった。またその中でCreGFR 60-74 ml/minでは23%CysCeGFR60 mil/min以下になった。




死亡率はCysCによる再分類でeGFR増加群(CreGFR 30-44,45-59 ml/min)で死亡率が有意に低下し、特にCreGFR 45-59 ml/minでは42%が再分類でCysCeGFR増加し、死亡率は34%低下した(有意差あり)
CreGFRからCysCeGFRでの再分類改善度は、総死亡では0.21(有意差あり)、この傾向はCKD群より一般人群で大きかった。補正後も同様の結果。

CVD死亡はCysCによる再分類でeGFR低下群(CreGFR 45-59,60-89,90以上ml/min)risk上昇が有意に見られらた。再分類でeGFR改善群はCreGFR 15-29 ml/minにおいてのみCVD死亡率低下が有意に見られた。CreGFRからCysCeGFRでの再分類改善度は、CVD死亡では0.16(有意差あり)

ESRD率はCysCによる再分類でeGFR低下群(CreGFR 30-44,60-89ml/min)risk上昇が有意に見られらた。CysCによる再分類でeGFR改善群はCreGFR 30-44,45-59 ml/minにおいてrisk低下が有意にみられた。CreGFRからCysCeGFRでの再分類改善度は有意差みられず。

CySCCrの併用で算出したeGFRもおおむね同様の結果だが、CysCeGFRでの再分類の方が死亡率・CVD死亡と関連が大きかった。ESRDはどちらも有意差なし。


eGFRの正確さはCrCysCの併用の方が有用という報告があるが、死亡率との関連はCysCでのeGFRが有用であった。

2014年3月13日木曜日

AAV(ANCA associated vasculitis)に対する血漿交換とsteroid pulseのランダム化比較試験

Long-term follow-up of patients with severe ANCA-associated vasculitis comparing plasma exchange to intravenous methylprednisolone treatment is unclear

Kidney International 2013; 84: 397-402


AAV(ANCA associated vasculaitis)新規診断患者(Cr> 500μmol/l or 透析必須患者)137人に対し、血漿交換群 69人とmPSL pulse 68人に分けて行ったランダム化比較試験。Primary outcome12ヵ月以内のCr 500μmol/l以下or透析離脱であり、長期followの中央値は3.95年で、総死亡、ESRDを調べた。行った後療法(CPAAZAPSL)は両群に有意差はなかった。



血漿交換の方が感染症死亡の率は高かったが、総死亡に有意差は見られなかった。ESRD率は12ヵ月までは血漿交換が優れていたが、5年後ではp=0.08で有意差が見られなかった。再発率にも有意差はなかった。

entry患者の半分が死亡しており、2/3が死亡かESRDに至っている。有意さを出すのにnが少ない可能性がある。

血漿交換加えてmPSL pulseを施行することも行われており、さらなる検討を要する。

2014年1月23日木曜日

医師と患者の接する時間が予後に与える影響

Associations of Frequency and Duration of Patient-Doctor Contact in Hemodialysis Facilities with Mortality

J Am Soc Nephrol 24:1493-1502,2013

各DOPPS phaseの24498人の透析患者において、patient doctor contact(PDC)の頻度・長さが前死亡率、入院率に及ぼす影響を調べた前向きコホート。中央値22年。
国、施設によってPDCはばらつきがあった。

高い頻度のPDCの患者群では、黒人が少ない、カテーテルよりAVFの頻度が高い、仕事がある、結婚している、合併症少ないといった傾向があった。

frequent PDC(週1以上)と比較して、全死亡率はintermediate PDC(週1)は有意差なし、low PDC(週1以下)はHR 1.11(有意差あり)であった。
long duration PDC(1ヶ月60分以上)と比較し、intermediate  duration(30-60分)は全死亡率のHR 1.15(有意差あり)、short duration(30分以下)はHRは1.11(有意差あり)であった。
PDCのduration5分短くなるごとに全死亡率のHR 1.05(有意差あり)。
長いdurationの施設と比較し、短いdurationの施設では全死亡率が HR 1.13(有意差あり)であった。

PDCが頻回で長い施設と比較して、入院率はintermediateの施設、lowの施設それぞれHR 1.14、1.22(有意差あり)であった。5分durationが短くなるとHR 1.06(有意差あり)であった。
日本での結果が相違・不明瞭なのは、eventの少なさ、施設間の差が少ないからと考えられる。

2014年1月20日月曜日

若年時の肥満が、将来の末期腎不全に及ぼす影響

Body Mass Index in 1.2 Million Adolescents and Risk for End-Stage Renal Disease

Arch Intern Med. 2012;172(21):1644-1650.

17歳のユダヤ人1194704人に対して、17歳時の肥満と末期腎不全のriskを調べたretrospective cohort。25年の追跡。
過体重は85ー94%タイル(BMI:男24.9-28.19、女:25.2-29.59)、肥満は95%タイル以上(BMI:男28.2-40.0、女:29.6-40.0)と定義。



過体重は全てのESRDで、3.0倍のrisk高い、肥満は6.89倍risk高かった。これは
男女ともに同じ傾向であった。
DMによるESRDでは、過体重が5.96倍、肥満が19.37倍有意にriskが高かった。
non-DMによるESRDでは過体重が2.17倍、肥満が3.41倍有意にrisk高かった。


PKDによるESKDも過体重以上はrisk 2.57倍有意にrisk高値であった。



nonDMによるESKDは90%タイル以上(BMI26台)から有意にriskの上昇が見られた。
DMによるESKDは正常高値である75%タイル以上(BMI 23.4)から有意にriskの上昇見られた。(年齢、性、人種、血圧、時期で補正)

2014年1月2日木曜日

CKD患者における血圧変動性のrisk

Long-term visit-to-visit office blood pressure variability increases the risk of adverse cardiovascular outcomes in patients with chronic Kidney disease

Kidney International advance online publication, 24 April 2013;doi:10.1038/ki,2013.132


1618人のCKD患者(stage2-5、平均年齢64歳、30%が2型DM)において、各来院時の血圧変動性とall cause mortality・CVD eventを調べた前向きcohort。中央値 37ヵ月。
94%は降圧薬加療受けていた。
各来院時の血圧変動性は平均・最大BP、来院回数、年、血糖、eGFR、Albと有意に関係していた。


Framinghamのrisk因子で補正後も、収縮期血圧の標準偏差・変動係数が大きいほど有意に複合end point(全死・CVD riskの)のHR上昇した。
上記の血圧変動性に関係する因子で補正しても同様の結果であった。



βblockerと交感神経遮断薬投与によって、血圧変動性と全死・CVD riskの関係性は消失した
βblocerの交感神経過剰状態にたいする効果と思われる。